残業時間の上限ってあるの?

【残業時間の上限ってあるの?】

投稿日:2022年4月15日(当記事の内容は投稿日時点のものです。)

 働き方改革ということでどの会社も残業を減らそうという動きになっていますが、法律では具体的にどんなルールになっているか知らないという方もいるかもしれません。会社としては勤怠管理をする上で、「知らなかった!」ではまずいケースがあります。

今回は「残業時間の上限」について解説しますので、勤怠管理の見直しに参考にしてください。

大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月に残業時間の上限について労働基準法の改正が行われました。改正の内容は以下の通りです。

①の残業時間の限度基準について改正前と改正後で上限自体に変更はありませんが、改正後は行政指導ではなく、法律で義務付けされました。この規制に違反した場合は「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」も科されます。また、➁の36協定の特別条項における残業時間の限度基準について改正前は上限がなかったのですが、改正後は法律で上限が決められました。残業時間は年間では720時間以内で、複数月平均が80時間かつ月100時間未満としなければなりません。また注意する点は複数月平均の80時間と月100時間の内に休日労働が含まれるということです。例えば月の残業時間が60時間で休日労働が40時間あったとします。合計でこの月は100時間の残業をしたことになり、法律違反となります。

また、今回の改正内容が適用されるのは全業種・全職種ではありません。仕事の性質上一定の猶予期間を設けて、適用するとされた業種・職種があります。下記、一覧の通りです。

一覧のうち、新技術・新商品等の研究開発業務は一定の要件のもと適用なしとされています。その他は具体的な上限規制の内容について今後、検討されて決まるものもありますので、該当する会社は今後の動向についてニュースなどでチェックすることをお勧めします。

今回の法改正で残業時間の上限が設けられ、残業を減らしていくことは会社にとって重要な課題となりました。しかしながら、単に従業員へ「残業をせずに帰ってください」と指示するだけでは根本的な解決につながりません。業務の何にどのくらい時間がかかるのかを可視化し、何をカットして効率化すれば時間短縮ができるのかを検討する必要があります。従業員に過度な負担がかからないように実務が回る仕組みを長期的な視点で検討を重ねることが大切です。まず初めの一歩として、「業務の棚卸し・可視化」から始めてみてはいかがでしょうか。