投稿日:2021年12月17日(当記事の内容は投稿日時点のものです。)
「名ばかり管理職」という言葉を皆さんは耳にしたことがありますか?
これは例えば、会社では「店長」という肩書だけれど、管理職として実態が伴っていないというケースです。
「課長」や「部長」、「店長」、「支店長」といった役職に就くと「管理職」という認識を持つ方がほとんどだと思いますが、皆さんは労働基準法で定義されている「管理監督者」というのは一体どんな人なのかご存じでしょうか?世間一般で使われる言葉と法律上で定義される言葉は違うことがよくあります。
今回は労働基準法で定められている「管理監督者」について解説します。
労働基準法で定められている管理監督者とは次の三点が判断基準とされています。
この三点を見ると、役職についているか否かが「管理監督者」の判断基準にはならず、実態として基準を満たしているかが問題になります。判例でも、会社が「管理監督者」として扱っていた社員を、判断基準に該当しないことを理由に管理監督者とは認めずに、割増賃金の支払いを会社側に命じたケースもあります。
法律上「管理監督者」であれば割増賃金の支払いは必要ないのですが、その他にも「休憩」、「休日」の規定が除外されます。
労働基準法の第41条では、「管理監督者」に該当した場合は労働時間・休憩・休日規定の適用を除外すると定めています。内容は以下の通りです。
管理監督者は法律上で除外される規定があり、労務管理上は通常の労働者と扱いが異なります。ただし、労働契約法第5条に定められている会社の安全配慮義務(労働者の心身の健康に配慮する義務)といった点では、管理監督者も通常の労働者と同様に配慮する必要があり、「労働時間の把握」や「休憩・休日の取得推奨」は行うようにしましょう。
また、管理監督者であっても、「有給休暇の取得」と「深夜割増賃金」については通常の労働者と扱いは同じになります。「管理職だから有給休暇は取れない」「管理職だから深夜割増賃金は支払わない」といったことはできないので注意してください。