算定基礎届とは?

【算定基礎届とは?】

投稿日:2022年7月13日(当記事の内容は投稿日時点のものです。)

毎年6月ごろになると、年金機構から算定基礎届の書類が入った大き目の封筒が会社に届きます。社会保険の事務担当の方は実務で対応されているので、その書類が届くとそろそろ算定基礎届を提出する季節が来たと感じる人もいるかもしれません。

では、この毎年提出を求められる算定基礎届という書類は一体どのような届出なのでしょうか。今回は算定基礎届について解説します。

会社に入社した時に、社会保険の資格を取得してその際に、標準報酬月額が決まるのですが、昇給などがきっかけとなり、給与額に変動が生じることがあります。そのため、実際の給与額と取得時の標準報酬月額の乖離を防ぐという点で、定時決定が行われます。その決定をするために届け出る書類が「算定基礎届」というものです。

≪標準報酬月額表(東京)≫

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r4/ippan/r40213tokyo.pdf

※健康保険料率は全国健康保険協会の場合、各都道府県によって異なり、上記の月額表は東京のものになります

定時決定は4月、5月、6月に支払ったその報酬総額をその期間の月数で除して得た額で標準報酬月額を決め直します。給与の支払いの基礎となる日数が17日以上あるもので計算し

ますので、17日未満の月は除外されます。例えば、4月と6月は30日分の報酬が支払われたが、5月は休職したため16日分しか支払われなかった場合には、4月と6月の報酬総額を2(か月)で除した額をもとに標準報酬月額を決定することになります。

算定基礎届を提出して、決定された社会保険の等級はその年の9月から翌年の8月まで適用されます。

算定基礎届を作成する際には、以下のケースに気をつけてください。

  • 算定基礎届の提出が不要な人
    • 6月1日以降に資格取得した方
    • 6月30日以前に退職した方
    • 7月改定の月額変更届を提出する方
    • 8月または9月に随時改定が予定されている旨の申出を行った方
  • 月額変更届(随時改定)に該当する人

随時改定に該当する人とは固定的賃金(基本給、家族手当、通勤手当、住宅手当などの支給額や支給率が決まっているもの)に変動があり、継続した3か月間に支払われた報酬総額を3(か月)で除した額の標準報酬月額を従前と比べてみて、2等級以上の差が生じるケースです。随時改定に該当する人は算定基礎届ではなく、月額変更届を提出します。

  • パートやアルバイトの被保険者

正規社員より短い時間で働くパートやアルバイト(名称問わず)の被保険者も算定基礎届の対象となります。

  • 4月、5月、6月の3カ月間のうち支払基礎日数が17日以上の月が1カ月以上ある場合

⇒該当月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します

  • 4月、5月、6月の3カ月間のうち支払基礎日数がいずれも17日未満の場合

⇒3カ月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します。

  • 4月、5月、6月の3カ月間のうち支払基礎日数がいずれも15日未満の場合

⇒従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します

 

2020年の4月から資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人などは社会保険の手続きに関して、電子申請が義務化されました。算定基礎届の書類も義務化された手続きに入りますので、該当する会社は電子申請で行うようにしてください。「e-Gov」というデジタル庁が運営する行政ポータルサイト(https://www.e-gov.go.jp/)を利用して手続きを行うことができます。

義務化されていない会社も事務作業の効率化という点で、電子申請はオススメです。この機会に電子申請への切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。