フレックスタイム制ってどんな制度?

【フレックスタイム制ってどんな制度?】

投稿日:2022年2月18日(当記事の内容は投稿日時点のものです。)

 フレックスタイム制と聞くと皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?「出社退社時刻を自分の好きな時間に決められる」など自由なイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。一見、自由なイメージのフレックスタイム制ですが、導入・運用にあたっては労働基準法で決められた一定のルールに従う必要があります。今回はフレックスタイム制のルールについて解説します。

フレックスタイム制の運用で混同されるケースの一例として、シフト制勤務を採用している会社が「うちはフレックスタイム制なので柔軟な働き方ができます」と言われるケースがあります。シフト制は日ごとに従業員の出退勤を事前に調整して出社・退社時刻を設定する方法で、労働者がその日の出社時刻を「今日は8時に出社して、明日は10時に出社します」というように自由に決めることはしていません。シフト制も労働者の同意の上、出退勤時刻を調整できるという点で柔軟な働き方が可能ですが、労働基準法で定められたフレックスタイム制ではありませんので注意してください。
また、フレックスタイム制の導入にあたっては、次の二点の要件があります。

 

 

またフレックスタイム制の時間外労働についての扱いが通常とは異なり、1⽇8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働しても、ただちに時間外労働とはなりません。逆に、1⽇の標準の労働時間に達しない時間も欠勤とはなりません。フレックスタイム制で時間外労働となるのは、清算期間における法定労働時間の総枠(以下参照)を超えた時間数となります。

 

 

例えば、1か⽉を清算期間とした場合、法定労働時間の総枠が以下のとおりとなるため、
清算期間における総労働時間はこの範囲内としなければなりません。

 

清算期間において、実際の労働時間が総労働時間を超過した場合は、超過時間分の賃金支給が必要になります。また実際の労働時間が総労働時間に満たない場合は不⾜時間分の賃⾦を控除して⽀払するか、不⾜時間を繰り越して、次の清算期間の総労働時間に合算することができます。
2019年の労働基準法改正では、この精算期間の上限が1か月から3カ月へと延長されました。このため、例えば、7月から8月は子供が夏休み中のため労働時間を短めにして、9月に多めに働こうと、3カ月の中で、労働時間の長短をつけて調整することでより柔軟な働き方ができるようになりました(※精算期間が1か月を超える場合は、労使協定を労働基準監督署に届出の義務あり)。
フレックスタイム制は労働者の柔軟な働き方が可能になるメリットがありますが、一定のルールがあるため、すべての業種や職種に適用できる制度ではありません。フレックスタイム制を採用している業界が多いのはIT、インターネット、マスコミ業などで、職種はエンジニアや研究職といった個人で業務を進めることができる仕事に適しています。導入にあたっては全社員に適用するケース、部署ごと、職種ごととフレックスタイム制を適用する社員の範囲を選ぶことができるので、働き方改革の取り組みとしてもオススメです。もし、適用できそうな社員がいる場合は、フレックスタイム制導入を検討してみてはいかがでしょうか。