投稿日:2022年8月18日(当記事の内容は投稿日時点のものです。)
スマートフォンの普及により、歩きスマホという行為によって交通事故が引き起こされるケースが増えています。歩きスマホは歩行者と自転車や自動車との衝突の原因になるだけではなく、歩きスマホをしている本人も足を踏み外して階段から落ちたりするケースもあります。今回は通勤中に起こるケガで、私たちがよく耳にする「通勤災害」について解説します。
「通勤災害」と適用要件
では、通勤災害は通勤中であれば、どんなケースでも通勤災害となるかというとそのようなわけではありません。通勤災害と認められるための必要な要件があります。
通勤の途中で経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、「逸脱」又は「中断」の間とその後の移動は「通勤」とはなりません。
日常生活上必要な行為による適用例
ただし、日常生活上必要な行為であって、やむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、「逸脱」又は「中断」の間を除き、合理的な経路に復した後は再び「通勤」とみなされます。
≪日常生活上必要と認められるものの一例≫
- 日用品の購入、クリーニング店への立ち寄り
- 職業訓練学校へ行き、授業を受ける行為
- 選挙権の行使
- 病院又は診療所において診察又は治療を受けること(柔道整復師、はり師等による施術を受ける行為を含む)
例えば、会社帰りにゲームをするため、友人と公園に集まって遊ぶという行為は、日常生活上必要な行為ではなく、「逸脱」に該当しますので、その前後で事故にあった場合でも「通勤災害」として労災保険法の給付は受けられません。
「通勤災害」ではなく「業務災害」になる例
また、営業先に訪問する際に「歩きスマホ」で事故に合った場合は、「通勤災害」とはなりません。この移動は業務によるためであり、業務の性質を有するものは「業務災害」という扱いになります。もし、自分の通勤中のケガが労災の適用になるかわからない場合は、まず会社の総務や相談窓口に聞いてみることをお勧めします。


