法改正:月60時間を超える時間外労働割増賃金率引き上げ

【法改正:月60時間を超える時間外労働割増賃金率引き上げ】

                       投稿日:2022年12月21日(当記事の内容は投稿日時点のものです。)

  残業代の割増率と言えば、皆さん25%という数字が思い浮かぶのではないでしょうか。この25%という率は時間外労働が60時間以内の場合に適用されます。2010年の労働基準法の改正で、60時間を超える時間外については割増率が「50%以上」となりました。ただし、適用される対象が大企業のみとなり、中小企業については猶予措置が取られていました。

その猶予期間が終わり、20234月1日より中小企業も大企業と同様に60時間を超える時間外については割増率が「50%以上」へ変更となります。

 中小企業に該当するかは、以下の表の①または②を満たすかどうかで企業単位で判断されます。

今回の法改正は下記の図のような内容となります。2023年4月1日から労働させた時間について、割増賃金の引き上げの対象となります。

 

 60時間/月を超える残業が発生している会社は残業代の計算時に注意が必要となります。計算上もめんどうになるし、うちの会社は割増率25%のままでいきますということも認められません。50%を下回る割増率で残業代を支給している場合は、罰則があり、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることになります。

時間外労働の把握・管理は勤怠システムなどもうまく活用して適切に行うようにしましょう。また、時間外労働そのものを減らす工夫ということも重要になってきます。長時間労働が発生することで会社としては、残業代という経済的な負担も多くなるだけでなく、社員の健康リスクにも繋がります。結果として、社内の生産性も悪化するという悪循環を生んでしまいます。

来年の改正施行までにまだ時間がありますので、一月に60時間を超える残業をする社員がいる場合は、この機会に長時間労働の改善策を検討してみてはいかがでしょうか。