労働契約と就業規則ってどっちが優先?

皆さんは会社に入社するときの雇用契約書の中身をよく見ているでしょうか?労働契約を結んで会社に入社する時、入社までに「労働条件通知書」や「雇用契約書」というタイトルの書類が会社から渡されます。タイトルは違うものの、内容はほぼ同じで、労働条件の詳細が記載されています。

皆さんが一番目に留まるのは給与額の箇所かもしれませんが、給与額以外にも「勤務時間」「休日」「休暇」「退職に関する事項」など他にも重要な項目があります。この労働条件は会社に入ってからは「就業規則」というルールブックで確認することができます。ただ、労働契約と就業規則に書かれている内容が異なるケースがあります。

具体的に、以下のような例です。

 

例の1と2ともに、①が優先されます。会社のルールである就業規則が優先されると思いがちですが、労働契約が優先するので注意が必要です。理由としては、この例の①と➁ともに、就業規則よりも労働者有利な労働条件のためです。

採用時に、人材獲得のため、就業規則を上回る労働契約を結んだときは注意が必要です。

 

労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効となります。これは労働基準法が労働条件の最低基準を定めた法律だからです。就業規則についても労働基準法違反の内容を定めることはできません。

労働基準法、就業規則、労働契約の効力関係は以下のようになっています。

 

 

法律である労働基準法の効力が一番大きいのですが、次に就業規則、労働契約という順になります。しかし、※印の「労働者に有利な場合のみ、労働契約が優先」という点がポイントになります。

就業規則は会社のルールブックですが、社員数が10人未満の会社には作成・届出義務がないため、作成していないという会社もあるかもしれません。就業規則を作成していないことで、法律違反にはなりませんが、会社のルールブックを設置するという観点で作成をお勧めします。また、かなり昔に就業規則を作成して、形式的なものになっている場合は、実態に沿った内容にするための見直しをお勧めします。

投稿日:2023年2月28日(当記事の内容は投稿日時点のものです。)