タイムレコーダーの代わりに生体認証デバイスで勤怠管理するには?種類や特徴を徹底比較

タイムレコーダーの代わりに生体認証デバイスを導入することで、不正打刻の予防や勤怠管理の効率化に繋がります。本記事では勤怠管理における生体認証のメリット/デメリットを整理して、指紋認証や顔認証などの生体認証それぞれの特徴を解説します。

様々な生体認証機器があり選び方に迷う方も多いとは思いますが、それぞれの特徴や向き/不向きを知ることで自社のニーズに合った最適な端末を選定できると思います。ぜひ勤怠管理システム選びにもお役立てください。

生体認証を使って勤怠管理をするには?

タイムレコーダーからタイムカードへの打刻を生体認証機器からシステムへの打刻に変える

タイムレコーダーとタイムカードによる従来の方法から身体的特徴を使って本人を確認する生体認証を利用する方法に置き換えて、本人確認と出退勤打刻を同時に行う仕組みにします。タイムレコーダーといった打刻端末と記録をするタイムカードが不要になり、生体認証を行う認証端末と記録を記録を残すためのシステムを導入します。

勤怠管理を代わりに行える生体認証端末は一般的には販売されていないため、専門のサービス提供会社から購入するかたちになります。端末が手元に届いたら使い方に従って、指紋や顔などの生体情報を端末に登録していきます。

生体認証機器と連携できる勤怠管理システムを導入する

生体認証デバイスから出退勤といった打刻データを取得するには、デバイスに対応した勤怠管理システムの導入が不可欠です。生体認証デバイスで取得したデータを自動的にシステムに反映させ、出退勤情報を正確かつリアルタイムに管理できます。出退勤のデータがシステムに連携された後は、他の打刻方法と同じ運用になります。

タイムカードから生体認証に変えるメリット

不正打刻を防げる

生体認証を利用することで、他人のタイムカードを使って代わりに打刻する「不正打刻」を確実に防止できます。生体情報は個人ごとに固有であり、偽造が困難なため、不正行為の抑制に効果的です。これにより、従業員の出退勤データの正確性が確保され、公平な勤怠管理が実現します。

タイムカードやICカードを利用する打刻は、従業員同士の貸し借りによって「なりすまし打刻」という不正打刻が可能です。またID/パスワードによるWeb打刻もログイン情報を共有してしまえば、簡単に不正打刻ができてしまうでしょう。これらの不正は従業員の教育や会社のルールによって抑制することもできますが、偽造や貸し借りのできない生体認証打刻であれば防ぐことができます。

設置場所での打刻を強制できる

生体認証端末に限りませんが、物理的な打刻端末を利用することで特定の場所でのみ打刻が可能となり、従業員が会社の指定した場所での出退勤を強制することできます。これにより、リモートワークや外出先から事務所に出社したように見せかける不正な打刻を防止し、正確な勤怠管理が可能になります。

タイムカードやICカード忘れによる打刻漏れがなくなる

タイムカードやICカードを持ち歩く必要がない生体認証では、カードの紛失や忘れによる打刻漏れが発生しません。生体情報が登録された本人のみが打刻できるため、従業員は安心して勤務開始・終了時の打刻を行うことができます。これにより、勤怠データの漏れやエラーが減少し、正確な記録が維持されます。

セキュリティが向上する

生体認証端末には勤怠管理システムだけではなく入退室管理システムと連携している端末もあるため、未登録のユーザーの入退室を防ぐこともできます。未登録のユーザーが入退室する場合も、自然と登録済みの従業員と一緒に入退室しなければいけなくなるため、見慣れないユーザーにも気が付きやすくなります。

生体認証を利用するデメリット

初期導入コストが大きい

生体認証システムの導入には、機器の購入費やインフラ整備費用などの初期コストがかかります。特に複数の拠点や多数の従業員がいる場合、これらの費用が増大することが考えられます。 例えば、クラウド型勤怠管理システムのWeb打刻を利用する場合は拠点数がいくつに増えても利用金額は変わりませんが、物理的な端末の場合は拠点数分の購入が必要になるでしょう。生体認証端末の種類によっては一般的な打刻端末より高額なものもあります。

そのため導入時には、初期投資に見合う長期的なメリットや、運用上のコスト削減効果をしっかりと見極めることが重要です。

機器の設定や設置にサポートが必要

生体認証機器の導入の際には主に3つの設定が必要になります。

  • どのように出退勤打刻をするかなどの端末自体の設定
  • 端末と勤怠管理システムを連携するための設定
  • 端末とインターネットを接続するネットワークの設定

マニュアルや設定資料があっても、ITに精通していない労務担当者がこれらの設定をスムーズに進めることは難しいでしょう。その場合は、専門知識を持つサポートの助けが必要不可欠と思います。

特に、従業員の生体情報を登録した後の確認作業は重要です。3つの設定すべてが適切に行われていないと、出退勤打刻が登録されずトラブルが発生することもあります。導入後の運用をスムーズに行うためにも、信頼できるベンダーからサポートを受けることが大切です。

リモートワークには適していない

生体認証は、端末を設置した場所で従業員が出退勤打刻をすることが前提となるため、リモートワークには適していません。リモートワークを行う従業員が多い場合は、GPS打刻といった所在地を確認できる別の打刻方法も検討するなど、代替手段も用意する必要があるでしょう。

リモートワークからの回帰も始まり、在宅勤務とオフィス勤務を併用する企業も増えてきた今、それぞれの働き方に沿った柔軟な勤怠管理方法を検討してみてください。

デバイスと連携できる勤怠管理システムが必要

生体認証を活用するには、デバイスと連携できる勤怠管理システムの導入が必要です。既存のシステムと連携が取れない場合、別途対応するシステムを導入する必要があり、追加のコストや時間がかかることがあります。システム間の互換性や連携のしやすさを考慮し、導入前に十分な検討が必要です。

生体認証の種類ごとの違いを比較

指紋認証

指紋認証は、生体認証の中でも最も一般的で、広く利用されています。指紋をスキャンして個人を認証する仕組みで、導入コストも比較的低く、扱いやすさが特徴です。近年ではパソコンなどの情報機器へのログイン認証やキャッシュレス決済への利用などが広がっています。

しかし指紋の汚れや損傷がある場合には認識精度が低下することがあるため、作業環境や業務内容に応じた選定が必要です。また多数の人が認証端末に指を押し当てて認証するため、衛生的なリスクもあります。

静脈認証

静脈認証は、手のひらや指の内部にある静脈のパターンをスキャンして認証する方法です。外部からは見えない内部構造を利用するため、偽造が非常に困難で、高いセキュリティを誇ります。また、指紋認証と比較して機器に触れることなく認証ができるため衛生的です。銀行ATMなどで利用されています。

一方で、導入コストが高い点は注意が必要です。また寒さによって認証に利用される血管が縮まると、認証しにくくなる場合があるため設置環境をよく考える必要があります。

顔認証

顔認証は、顔の形状や特徴をスキャンして個人を認識する方法です。非接触型であるため、衛生面で優れており、スピーディーな認証が可能です。ただし、照明条件やカメラの角度に依存するため、精度にばらつきが生じる場合があります。設置環境に適したカメラやソフトウェアの選定が重要です。

またコロナの流行をきっかけに日常的にマスクをかける人も目にするようになりました。マスクやメガネによって顔が隠れてしまうと認証ができなかったりする場合もあるので、端末が対応しているかチェックしておく必要があります。

虹彩認証

虹彩認証は、眼の虹彩パターンをスキャンして個人を特定する方法で非常に高いセキュリティ性を持っています。虹彩は他の生体情報と同じように個人で異なるものの、加齢や外的要因によって変化しないため安定した認証が可能になっています。ただし、他の認証端末よりも導入コストが高くなる傾向があります。

また、顔認証と異なりマスクやメガネ、顔面を覆ってしまう防護服などでも運用可能ですが、カラーコンタクトなど虹彩の読取を邪魔してしまうものは使用できません。虹彩認証端末には顔認証機能も同時に使用できるものもあるため、カラーコンタクトの従業員のみ顔認証で打刻するようにするなどで解決することができます。

生体認証デバイスを決めるポイントは

導入する目的は何か

導入目的によって最適な生体認証デバイスは変わってきます。そのため、まず導入目的を改めて確認しましょう。以下に目的の例を挙げます。

  • 従業員のなりすまし打刻といった不正打刻の防止やセキュリティの強化
    • → 基本的にどの生体認証方法でも満たすことができる。
  • ウイルスや菌といった衛生管理の厳格化
    • → 非接触による打刻が求められるため、顔認証や虹彩認証が適切
    • → メガネやマスク、手袋が必須となるため、虹彩認証が適切
  • ICカードの紛失防止など様々な環境でも使える
    • → 加齢に伴って変化しないことが望ましい
    • → 認証スピードが早い端末がよい

目的を洗い出すことによって、認証機器の得意・不得意に応じた選定ができるようになります。高額な端末程よいのか?そもそも生体認証自体が必要なのか?など客観的に判断する大切な事柄なのでよく検討しましょう。

どこに設置をするか

生体認証デバイスを導入する際には、設置場所も重要なポイントです。オフィスの出入口、工場のゲート、特定エリアなど、どの場所で認証を行うかにより、選ぶべきデバイスが異なります。また設置の仕方についても、台や机の上に置くか、壁に埋め込むか、有線・無線ランのどちらで接続するか、など考えなければいけません。

よく受ける相談としては、設置直前になってインターネットの回線が届かないというケースです。設置場所によっては工事や追加の機器を購入する必要が出てきた、とうことも考えられるため事前によく確認が必要です。

設置環境に応じて、耐久性や設置スペース、電源供給方法などを考慮し、最適なデバイスを選定することが必要です。

デバイスに対応する勤怠管理システムはあるか

生体認証デバイスを効果的に運用するためには、それに対応する勤怠管理システムが必要です。システムがデバイスとスムーズに連携できるか、既存のシステムと互換性があるかを事前に確認しておくことが重要です。導入後の運用が滞りなく行えるよう、システム間の連携性や操作性を十分に検討しましょう。

価格はどれくらいか

生体認証デバイスの価格は、機能やセキュリティレベルによって大きく異なります。初期導入費用だけでなく、メンテナンスやサポート費用も考慮した総コストを把握し、予算内で最大の効果を発揮するデバイスを選定することが重要です。価格と機能性のバランスを見極め、コストパフォーマンスの高いシステムを導入しましょう。

生体認証デバイスをサポートしている勤怠管理システム

生体認証デバイスを導入する際には、それをサポートする勤怠管理システムの選定が重要です。多くのシステムは、クラウドベースでリアルタイムにデータを管理できる機能を備えており、企業の業務効率化に大きく貢献します。

また、システムによっては、複数の生体認証方式に対応しているものもあり、企業のニーズに応じて柔軟に対応できる点が魅力です。導入時には、デバイスとの連携がスムーズであるかを確認し、信頼性の高いシステムを選びましょう。

ICタイムリコーダーでは、完全非接触を実現する顔/虹彩認証端末を強みとしたサービスを提供しています。主に介護・食品加工業のお客様から以下のような声を評価としていただいております。

  • メガネやマスクをしたままでもOK
  • 完全非接触なので両手がふさがっていても大丈夫
  • ペーパーレス、カードレス導入による運用改善

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生体認証システムごとの違いを押えて自社にあった勤怠管理システムを導入しよう

生体認証デバイスを使った勤怠管理は、セキュリティ強化と業務効率化を同時に実現できる手段です。指紋認証や顔認証など、各方式の特徴をしっかり押さえ、自社の規模や運用環境に最適なシステムを選ぶことが成功の鍵となります。

導入時には、初期コストだけでなく、運用面でのサポートやメンテナンスも重要な要素です。最適な生体認証システムを選び、スムーズな勤怠管理を実現しましょう。