勤怠管理とは?勤怠管理の必要性と目的について

勤怠管理は企業経営において不可欠な要素であり、その重要性は年々高まっています。しかし、勤怠管理の意義や目的を理解して管理できている人は多くはないのではないでしょうか。

働き方改革関連法の施行により、過重労働や賃金未払い・メンタルヘルスの不調などを引き起こす企業の勤怠管理で知るべき内容は増えてきています。本記事では、勤怠管理の定義からその必要性、目的を振り返り、そして具体的な管理方法まで企業が知っておくべき勤怠管理の全体像を詳しく解説します。

勤怠管理とは

勤怠管理とは、従業員の出勤時間、労働時間、遅刻・早退時間などから勤務状況を把握し、労働時間を管理することを指します。上記に挙げた項目以外にも、管理すべき項目は多岐にわたります。

労働基準法により、使用者は従業員の勤怠を管理する義務があります。勤怠管理は企業にとって重要な業務であり、その意味や目的を再確認し、適切に取り組むことが必要です。

中小企業も適切な勤怠管理が必要

企業の規模や業種に関わらず、従業員を雇用するすべての事業者には、労働基準法に基づく適切な勤怠管理が求められています。特に、2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法により、中小企業にも大きな変化が訪れました。

2024年までに実施されている一連の法改正では、以下のような新たな規制が導入されました。

  • 時間外労働の上限規制
  • 年次有給休暇の取得義務化
  • 同一労働同一賃金の原則

これらの新制度に対応するため、勤怠管理の内容は年々複雑になっており、従来の手作業による管理では対応が難しくなっています。

さらに、正確な勤怠管理は以下の点でも重要です。

  • 適正な給与計算の実現
  • 残業代の正確な算出
  • 社会保険料や税金の適切な計算

勤怠管理がいい加減だと、給与の過不足や社会保険料・税金の誤納など従業員だけでなく会社の不利益にもつながる可能性があります。これら誤りが発生した場合、修正には余分な時間とコストがかかるため中小企業にとっても大きな負担になってしまうでしょう。

適切な勤怠管理は、法令遵守だけでなく、従業員の働きやすい環境づくりや企業の生産性向上にもつながります。中小企業こそ、この機会に勤怠管理の見直しと改善を図ることが重要です。

勤怠管理のメリット

適切な勤怠管理は、企業にとって多くのメリットをもたらします。主な利点として、以下の3点が挙げられます。

従業員の勤務状態を正確に把握できる

従業員の日々の労働時間や残業時間を正確に記録・集計することで、以下のようなアクションを効果的に行うことができます。

  • 過重労働の早期発見と防止
  • 労働時間の適正化による従業員の健康維持
  • 業務の効率性向上と生産性の改善
  • 長時間労働に起因する健康被害や法的トラブルの回避

適切な労働時間管理をすることで早期に問題に対応して、従業員のワークライフバランスを改善し、結果として企業全体の生産性向上にもつながります。

正確な給与計算が可能に

給与計算は勤務実績を元に行われるため、正確に勤怠管理を行うことが正確な給与計算に繋がります。労働時間に応じた適正な給与や残業代の支払いが行われることで従業員との信頼関係構築にも寄与します。

特に残業代については、労働基準法により2年前までさかのぼって請求される可能性があるため、正確な記録と計算が重要です。適切な勤怠管理と給与計算は、会社の税務や労務上のリスクを低減することに繋がります。

コンプライアンスの遵守につながる

勤怠管理を徹底することで結果的に労働関連法規が遵守され、会社のコンプライアンス向上に繋がります。近年、いわゆる「ブラック企業」問題が社会的関心を集めています。労働時間が可視化されることで企業は健全な経営姿勢を証明することができ、対外的にアピールすることもできます。

勤怠管理で管理する項目

勤怠管理において、適切に記録・管理すべき項目は様々なものがあります。これらの項目は、労働基準法などで法的に定められているものと、実務上管理した方がよいものに大別されます。

ガイドラインなどにより法的に定められているもの

厚生労働省のガイドラインに基づき、以下の項目を管理する必要があります。

  • 始業・終業時刻:日々の勤務開始時間と終了時間
  • 労働日数:従業員が実際に勤務した日数
  • 労働時間数:1日あたりの実労働時間
  • 休日労働時間数:法定休日や所定休日における労働時間
  • 時間外労働時間数:法定労働時間を超えた残業時間
  • 深夜労働時間数:22時から翌5時までの労働時間
  • 有給休暇日数・残日数:付与された有給休暇の取得状況と残日数

参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン.pdf P1

これらの項目を適切に管理することで、労働基準法や働き方改革関連法に準拠した労務管理が可能となります。

実務上管理した方がよいもの

法的な義務はありませんが、以下の項目も管理することで従業員の勤務態度や勤怠傾向を把握したりより柔軟に給与計算をすることができます。

  • 欠勤日数:病気や私用による欠勤を記録し、給与計算や人事評価に活用
  • 休憩時間:労働時間の適正な計算のため、実際の休憩時間を記録
  • 早退・遅刻の回数や時間数:勤務態度の把握や労働時間の正確な計算に活用

適切な勤怠管理を行うためには、これらの項目を漏れなく記録し、定期的に分析・評価することが重要です。多くの企業では、デジタル化された勤怠管理システムを導入することで、これらの項目を効率的に管理しています。

また、これらの記録は労働基準監督署の調査時にも提示を求められる可能性があるため、最低3年間は適切に保存しておく必要があります。

勤怠管理の方法とそのメリット・デメリット

一般的には3つの管理方法が知られています。

タイムカード管理

タイムカードによる勤怠管理は、従来から多くの企業で採用されている方法です。従業員が出退勤時に専用のカードをタイムレコーダーに差し込むことで、勤務時間を記録します。

エクセル管理

マイクロソフト社のエクセルやGoogleのスプレッドシートなどの表計算ソフトを使用して勤怠を管理する方法です。従業員が自身で始業時間、終業時間、残業時間などを入力し、管理者がそれを集計・管理します。

勤怠管理システム

勤怠管理を行う専用のサービスを利用する方法です。従業員はPCやスマートフォンから打刻を行ったりや勤怠情報の確認を行ったりでき、管理者はリアルタイムで従業員の勤務状況を把握できます。サービスによってはタイムレコーダーのような専用の打刻機と連携し、ICカードや生体認証による打刻もできます。

それぞれのメリット・デメリットを比較すると以下の表のようになります。企業の従業員数や支店・事業所の数にもよりますが、一般的には規模が大きくなるほどタイムカード管理やエクセル管理は労務担当者の負担が増えます。導入コストはかかるものの、ある程度の規模なら勤怠管理システムによる管理がおすすめです。

管理手法メリットデメリット
タイムカード管理– 導入コストが比較的低い

– 操作が簡単で直感的

– 物理的な記録が残り、改ざんが困難

– 詳細な労働時間管理が難しい

– 手作業での集計によるミスのリスク

– 集計作業に時間とコストがかかる

– 遠隔地や外出の多い従業員の管理に不向き

エクセル管理– 導入コストが低い

– 数式設定で自動計算が可能

– カスタマイズが容易

– 手入力によるミスのリスク

– データの改ざんが比較的容易

– 法改正時に更新が必要

– 大規模組織では管理が煩雑

勤怠管理システム– リアルタイムでの勤怠把握が可能

– 自動集計で給与計算ミスを防止

– 過重労働防止のアラート機能

– 法改正に応じて自動更新

– 場所を問わず管理可能

– 初期導入コストが比較的高い

– 従業員のITリテラシーによっては操作に時間がかかる

– インターネット環境に依存

勤怠管理の目的を理解し効率的な管理を実現しよう

勤怠管理は、法令遵守、従業員の健康維持、正確な給与計算を実現するために不可欠な業務です。管理すべき項目を理解し、タイムカードやクラウドシステムなどの効率的な管理方法を選択することで、過重労働の防止や生産性の向上が図れます。

これにより、企業の持続的な成長と従業員の満足度向上につながります。経営者や人事担当者は改めて自社に最適な勤怠管理を検討してみてはいかがでしょうか。


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