テレワークの普及に伴い、多くの企業がいままでの働き方とは違った勤怠管理の課題に直面しています。従来のオフィスワークとは異なる環境下で、いかに適切に労働時間を管理し、生産性を維持するかが重要な課題となっています。本記事では、テレワークにおける勤怠管理の課題と解決策を事例を交えながら、テレワーク導入に向けたポイントを解説します。
テレワークによって生じる勤怠管理の課題
テレワークの課題は大きく分けて以下の3点あります。
- 勤務時間の正確な記録
- 休憩時間や残業時間などの不正申告
- 勤務状況の共有
オフィスに出社している場合は意識をしなくても、他の従業員がどれくらい勤務しているかある程度把握できていたと思います。しかしテレワークになると日常的に姿を見ることがなくなるため、勤怠の記録から勤務時間を把握する必要があります。
またテレワークでは遠隔で作業している従業員の目視できないため、不正勤務が起こる可能が考えられます。出社していれば実際に打刻をする姿を見ることも多いので不正打刻はしにくいでしょう。
さらに目視で確認できないことで、従業員が在席しているのか離席しているのかを確認することが難しくなります。勤務状況がわからないと、オフィスでは問題なくできていた電話の転送や口頭での打合せも行いにくくなるでしょう。
テレワークの勤怠管理導入の課題
テレワークを導入する上で、物理的な課題について例を挙げます。
- 在宅・サテライトオフィスでは打刻する機材がなく勤怠管理ができない。
- 出勤・退勤は社内のタイムレコーダーを利用しているので出社しなければならない。
- 休暇・残業申請は紙・押印ベースとなり、社内ワークフローの問題で在宅に切り替えられない。
- パソコンが1人1台ではないので、出社しないと申請できない。
- 部下の休暇・残業申請は、上長が電話で対応しているので出社しなければならない。
テレワークするための機材不足や、紙ベースで申請・承認を行うなど、会社に出社しないと申告できないことが多く物理的な課題があります。
テレワーク導入時の成功事例と失敗事例
テレワークを導入して失敗した事例3つ
会話が少なくなりコミュニケーションが希薄になった
テレワークの場合には自宅やリモートワークスペース等で1人で作業を行うため、職場での自然な交流が起こりにくくコミュニケーションの機会が減りました。電話やメールなどで業務連絡は行われても、日常的な雑談や気軽な意見交換といったちょっとした会話によるコミュニケーションは起きにくくなります。
雑談が減ることは仕事の効率化につながるように思えますが、実際には組織の雰囲気や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。褒め合いや悩み相談、何気ない会話などが減ることで、チームの結束力や個人のモチベーションが低下し長期的には業務パフォーマンスにも支障をきたすリスクも考えられます。
手間が増え生産性が低下した
リモートワークによって予想外の生産性低下を経験した企業もあります。
一つ目は、管理職が部下の状況把握に不安を感じ、頻繁な確認作業が本来の業務を圧迫するケースです。対面であれば口頭や目視でお互いに自然に行えていた確認作業がリモートワークでは難しくなります。
二つ目は、オフィスでは簡単だった情報共有や資料の確認がオンラインでは手順が増え時間を要することもあります。資料の保管場所を教えたりメールに添付して送付したりと従業員のITスキルによっては手間となります。
三つ目は、オフィスに出社する人数が減ったことで、テレワーク下でも出社している従業員に電話の取次や配送作業など出社しないとできない作業が増え、作業の偏りが発生したケースです。テレワークをしている従業員から見れば作業は減ったのかもしれませんが、出社している社員の負担が増えて会社全体としての生産性は低下するかもしれません。
これらの問題の軽減には、効果的なコミュニケーションツールの活用が不可欠です。電話やメール以外にもチャットツールなど様々なコミュニケーションツールもあるため、テレワークの導入に併せて導入を検討してもよいでしょう。
従業員の独立志向が加速してしまった
リモートワークの浸透により、従業員の時間的余裕が生まれ、副業や起業に踏み出す場合もあります。会社以外の場所だと管理者や他の従業員の目がないため、副業といった業務外の作業も行いやすくなったことが背景にあります。
企業が副業を容認する場合、本業と副業の時間管理がより複雑になる課題があります。この対策として、就業規則で副業に関する明確なガイドラインを設けることが重要です。
テレワークを導入して成功した事例3つ
経費削減と環境整備の両立につながった
ある会社では、テレワークを導入することで事務所の人数を少なくし、オフィススペースを縮小や設備の利用減少、通勤費の削減などを行いました。一方で、従業員の在宅勤務の環境整備のために手当を新設した企業もありました。通勤手当の代わりに効率的な在宅ワークを支援するための資金を提供したのです。
自宅は本来、仕事のための空間ではありません。失敗例に挙げたように、環境の問題から生産性が低下してしまうケースもあります。適切な環境整備は生産性向上につながると考え、単なる経費削減ではなく効果的な在宅勤務の実現に向けた支援も大切です。
デジタル化が進み業務の生産性が上がった
失敗例では情報共有の煩雑さが障害となりましたが、成功例では用途にあった適切なデジタルツールを導入して解決しました。情報共有にはチャットツールで情報交換をスムーズにし、テレワーク時でも勤怠が見えるように勤怠管理システムを活用することで、生産性を向上させることに成功しました。
ワークライフバランスの改善を後押し
生産性の向上だけでなく、従業員のワークライフバランスの改善につなげた企業もあります。テレワークでは一般的に、通勤する必要がなく通勤時間が削減されるため、家族と過ごす時間を増やしたり自身の活動の時間に充てることができます。
ある企業では、業務内容を精査し、テレワークでも可能な仕事と対面が必要な仕事を分け、働き方にあった業務を割り振ることで生産性の改善を進めました。
また、オフィスワークとリモートワークの両方に対応可能な勤怠管理ツールを採用し、働き方の多様化にも柔軟に対応しました。結果として従業員のワークライフバランスが改善されました。
テレワークを導入する際のポイント
勤務状況を可視化する
リモートワークでは、円滑なコミュニケーションが不可欠です。このようなときは、MeetやZoom、Teamsなどのオンライン会議ツールがおすすめです。これらのツールを常時接続しておくことで、遠隔地の様子を視覚的に確認することができるためタイミングも図りやすく、対面のようなコミュニケーションが取りやすくなります。
従来からある電話やメールでもコミュニケーションはできますが、お互いに勤務状況が把握しにくかったり、気兼ねなく連絡を取りづらいこともあります。連絡をするハードルを下げるためにコラボレーションツールと呼ばれるslackやchatworkといったサービスを利用してもよいでしょう。
客観的な勤怠管理をする
企業には従業員の労働時間を適切に管理する義務があります。管理者が遠隔地にいる従業員も出社している従業員も同じように勤怠を管理・監督できるように、勤怠管理システムの導入が効果的です。
勤怠管理システムにはテレワークをする従業員も想定した、パソコンやスマホから出退勤打刻を行う機能が備わっています。また打刻だけでなく勤務状況を集計したり在席状況を確認したりとテレワークを後押しする機能を持つシステムもあるため、従業員の勤務状況を客観的に把握できる環境を整えることができます。
メールや電話、さらにはオンライン会議ツールを使った報告だけでは、客観性を保つのが難しい場合もあるため、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。
テレワークの導入におすすめなクラウド型勤怠管理システム
勤怠管理システムの中でもおすすめなのが、ICタイムリコーダーです。テレワークの勤怠管理に必要なスマホといった様々なデバイスからの打刻や在席管理機能などリアルタイムな勤務状況を確認できる機能があります。位置情報も捕捉できるため、遠隔地でも客観的に勤怠状況を把握することが可能です。
また休暇や残業、シフト申請はスマートフォンからも申請・承認が可能です。作業場所に縛られることなくテレワークに適した勤怠管理システムを導入することで、会社はコンプライアンスを守りながら無理なくテレワークを実現できるようになります。ぜひ無料トライアルのサービスを活用してご体験ください。
ポイントを押さえてテレワークの管理をしよう
テレワークの導入におけるコミュニケーションや勤怠管理の難しさは、多くの企業が直面している課題です。しかし、勤怠管理システム等を利用することで効率的に勤怠管理をおこない、さまざまな問題に対応することは可能です。テレワークの導入は、業務体制の準備だけでなく勤怠管理も大事なポイントになります。テレワークによる課題を事前に洗い出し、対策を立て、自社に適したツールを活用することで課題解決を実現しましょう。
在宅勤務における労務管理の難しさは、多くの企業が直面している課題です。しかし課題点や導入の際のポイントを理解すれば、適切なツールや運用ルールを改めて検討することで、失敗事例に挙げたような問題は解決することができます。
ただリモートワークを導入するだけでなく、導入をきっかけに労務管理やコミュニケーションにおける様々な問題を改善し、従業員の生産性の向上と満足度の両立を図っていきましょう。それにより、より柔軟で効率的な働き方を実現することができるでしょう。